京葉銀行ショーウィンドーギャラリーでは、「これからのカタチ」をテーマに、モノづくりの中にある作り手の想いや新しい発想、SDGsに関わる取り組み、地域の人と人とのつながりなど、目に見えないことも「カタチ」という言葉に込めて、各期ごとに異なるタイトルの展示をお届けしております。
2026年の第1期となる今回は、淡く繊細な色彩、優雅な動きと素材造形の魅力、伝統と現代のつながり、自然や季節を感じる手仕事などを取り上げ、心地よいディスプレイに仕上げました。

田中信彦氏の陶芸作品の特徴は、淡く柔らかな色合い。印象派の絵画を思わせる「色のうつわ」と称されるシリーズは、見る人に安らぎと穏やかな印象を与えます。色とりどりの点描を施した「あられ」シリーズは、小粋で愛らしい風合いが魅力です。
見た目の美しさだけでなく、手になじむ使い心地も魅力のひとつ。近年は同じ作品をつくらない、一点制作に取り組んでおり、一品一品に“わたしのうつわ”を選ぶ歓びや楽しさがあります。
田中 信彦
東京都生まれ。立教大学時代に入ったサークルで陶芸に魅了される。
卒業後、京都の窯業訓練校を経て、滋賀県の窯元へ。
現在は、埼玉県入間市に開いた自身の釜にて活動中。

モビールは「動く彫刻」といわれる、空間にやわらかな変化を生み出すインテリア・アイテムです。栃木県足利市に工房を持つブランド、tempoは建築家やデザイナーとのコラボレーションで独自のモビールを生み出しています。重力とわずかな空気で優雅に動き、ゆるやかに姿を変えていくモビール。木材、金属、アクリルなど、素材の質感を活かし、丁寧な手作業でつくられたプロダクトは、空間に心地よいアクセントと、上質な空気感を生みだします。
tempo
2013年にスタートしたモビールブランド。
ディレクターに著名なデザインスタジオ、DRILL DESIGN(ドリルデザイン)を迎え、
建築家やデザイナーとともに制作を推進。
2017年には、スイスのローザンヌ美術大学(ECAL)との共同プロジェクトを開催し、
その中から選ばれた3アイテムを製品化している。

陶器や磁器は、壊れてしまうこともあります。気に入って使い続けていたら、なおさらです。しかし、<生涯を添い遂げるマグ>であれば、その時の悲しみが和らぐかもしれません。これは同じデザインのマグを新庄東山、有田、会津本郷、八戸などの日本各地のつくり手が手掛けるシリーズ。
割れた破片を送ると「生涯補償(条件付き)」により、新品に交換されます。長く使うこと、職人の手づくりの良さを味わうこと、地場産業の活性化など、さまざまな想いがこの形に込められています。
株式会社ワイヤードビーンズ(プロデュース)
企業のデジタルコマースへの支援事業と、職人と共同で製品を開発する「ものづくり事業」を展開。
日本の文化や伝統、職人技術の素晴らしさの伝承に努めている。
GKインダストリアルデザイン(デザイン)
ものごとの本質を「美しさ」として追求し、新たな価値を創造するデザインファーム。
トランスポーテーション・コンシューマー製品・プロ向け製品など幅広いデザインに関わる。
<生涯を添い遂げるマグ>は、両社のコラボレーションにより実現し、2018年度のグッドデザイン賞を受賞。

高田耕造商店は、1948年の設立から棕櫚(しゅろ)を素材に日用品をつくり続けています。棕櫚はヤシ科の常緑高木で樹皮は腐りにくく、耐久性としなやかさを備えた天然素材。それらを職人の手仕事によってひとつひとつ丁寧に仕上げています。棕櫚製のたわしは、たわしのイメージを覆すほど手肌に優しく、ボディケアにも使えます。現在、その魅力は国境を越え、フランスで開催される世界最高峰のインテリア・デザイン関連見本市にも出展されています。
高田耕造商店
和歌山県海南市でたわしやほうきを中心とした家庭日用品をつくり続けている。
2017年に「プレミア和歌山推奨品 審査委員特別賞」、
ふるさと名品オブ・ザ・イヤー「自治体が勧めるまちの逸品」部門最優秀賞と
「モノ部門」地方創生大賞を受賞。

千葉県で暮らしながら、ものづくりに取り組む二人の女性作家を紹介します。
濱口さえこ氏は、「葛」という植物のつるから糸をつむぎ、布を織っています。植物素材から生まれるテキスタイルは、素朴でやわらかな風合いが特徴。そしてどこか懐かしさを感じる意匠により、人々に安らぎを与えます。
キンノイト(長澤香奈子氏)は、金箔を使った本金糸や笹和紙の糸、草木染めの糸といった国産の糸やビーズで装身具を制作。心が動いた情景や移ろいを表現しており、身にまとった時の軽やかさ、動き、表情が魅力です。
濱口 さえこ
東京都生まれ。植物専門の出版社勤務などを経て、
千葉県で小屋暮らしをはじめたことをきっかけに、草木の力を借りたものづくりの道へ。
主に下総地域の川辺を歩き素材となる植物を採集している。
地球のしごと大學「土から機織り学部」講師。