木地玩具とは「ろくろ」で削り出して作る木製玩具のことで、江戸時代からの伝統技術を用いて作られています。独楽(こま)や輪抜きダルマ、けん玉、車の玩具などがあり、作品は千葉県指定伝統的工芸品に指定されています。
職人は、木の種類や年輪、木質を考慮し、バランスを考えながら「ろくろ」を回します。
代表的な江戸独楽は、アクロバティックな三段独楽や色とりどりの野菜独楽など、洒落っ気と温かみがあり、飾っても回しても楽しい玩具です。
木綿の産地として知られた行田は、中山道(なかせんどう)が近いこともあり、江戸時代には行きかう人々で賑わい、足袋づくりが盛んになりました。明治時代にはミシンが導入され、商品倉庫である足袋蔵が次々に建てられるなど、生産量は飛躍的に増え、一時は全国生産の約8割を占めました。
行田足袋は熟練の技と独自の工程から作られており、つま先周辺を曲線に合わせて縫う「つま縫い」では、ひだの大きさを微妙に変えることで極上の履き心地を生み出しています。
人々の暮らしを足元から支えてきた行田足袋は、テレビドラマにも登場し、老舗の足袋会社がランニングシューズの開発に挑む物語が注目を集めました。
天正年間(1573~1593年)、豊臣秀吉が播州三木城を攻略した際、大津に逃れた住民がそろばん作りの技法を習得し、帰郷して製造を始めたのが播州そろばんの起源と言われています。
100を超える工程を経ますが、大きくは 「玉削り」、「玉仕上げ」、「ひご竹作り」、「組み立て」など、作業は分業化されています。それぞれの匠の技でひとつひとつ丁寧に作られるそろばんは美しく、計算の道具のみならず、美術品としても高い価値があると評価されています。
現在はポップな色やデザイン、知育玩具や時計を兼ねたそろばんなども生まれ、海外でも人気があります。
波佐見焼は安土桃山時代に、焼き物づくりの高い技術を持つ陶工たちにより始まりました。江戸時代になると、大村藩をあげての殖産政策により、波佐見焼は地場産業としての地位を築き上げました。
波佐見焼の魅力は、白磁(はくじ)の美しさと藍色で絵付けされた繊細な染付の技術です。専門の職人による分業制が取られ、個々の作業にそれぞれの職人の細やかな技術が注がれています。
日々の暮らしに使える良質な陶磁器という持ち味はそのまま、多彩なデザインの作品も増えています。
大館曲げわっぱは、江戸時代に大館城主佐竹西家が藩の財政再建のため、領内の豊富な森林資源に着目し、武士に副業として製造を勧めたことが始まりとされています。
大館曲げわっぱの魅力は、自然の厳しさに耐えた弾力性に富む天然秋田杉と伝統の製法から生まれる木独特の肌ざわりと柾目(まさめ)(注)の美しさです。また吸湿性も高いため、お弁当箱やおひつ、食器としても重宝されてきました。
環境意識の高まりから、使い捨て容器の削減が望まれる中、使い込むほどに味が出てくる大館曲げわっぱへの注目度も上がり、新鮮なデザインの作品も生まれています。
(注)年輪に対して直角に切ったときにまっすぐ並ぶ木目のこと