江戸時代後期、古来より水晶の産地だった甲府では京都より玉造りの職人を迎え、独特の工程で水晶を磨く技術が考案されました。
これが甲州水晶貴石細工の始まりと言われています。
特徴は、透明感あふれる天然貴石の輝きと高度な伝統技術が生み出す豊かな造形です。
刃の当て方を間違えば一瞬で原石を砕いてしまうため、細心の注意が必要です。「緊迫の美しさ」を感じるのはそれが理由とも言えます。
一時は80%が海外へ輸出されましたが、現在では国内向けの生産が増え、工芸品から芸術作品まで、多様な作品が生まれています。
めのうは、石英(せきえい)と呼ばれる硬い鉱石を原料としており、2300万~500万年前の地層から採掘されています。
若狭めのう細工は、奈良時代、現在の福井県小浜市に渡来した鰐族(わにぞく)が玉を作って神社に奉納したことが起源だと言われています。その後、江戸時代中期に高山喜兵衛が「焼入れ技術」を習得し、本格的に生産が始まりました。
赤く透き通るような輝きをまとっためのうは、繊細な細工が施され、置き物やアクセサリーなどに生まれ変わります。
現在、若狭で唯一、上西宗一郎(うえにし そういちろう)さん(宗助工房)が後継者を育成しながら職人として活躍しています。師であった田中染吉さん(故人)との共演をご覧ください。
高品質の花崗岩(かこうがん)が採れる茨城県真壁地方では、室町時代末期から仏石(ほとけいし)作りが盛んになりました。真壁石燈籠として現存するものは1824年に作られたものが最古とされ、現在も桜川市真壁町の寺院に保存されています。
特徴は、切り出しから仕上げまでの18の技法で生まれる繊細優美な彫刻であることです。
個々の日本庭園に合わせて手彫りで作られる独特の美しさは、時間の経過に伴い苔をまとうことで“わびさび”のある雰囲気を漂わせます。
現在も日本庭園に欠かせない存在であるとともに、今様の暮らしに合うモダンなデザインの商品も生み出されています。
雄勝硯は、石巻市雄勝町でしか採れない雄勝玄昌石(おがつげんしょうせき)から作られます。室町時代から書道の硯として高い評価を受け、伊達政宗公に献上した際にも称賛されたと言われています。
しっとりとした艶やかで美しい黒色で、圧縮や曲げに強く、また吸水率が低いので経年変化しにくい性質をもっています。長い年月を経ても美しさが衰えることはありません。
現在も硯としての人気は健在ですが、テーブルウェアの素材としても注目され、さまざまな料理や食卓を引き立たせています。
とんぼ玉は、穴のあいた色ガラスの玉に、さまざまな模様をつけたものです。
紀元前15世紀頃、メソポタミア、エジプトなどで作られるようになり、日本でも正倉院の御物に見られます。
見た目がとんぼの複眼に似ていることから、とんぼ玉と呼ばれています。反射と透過というガラス特有の神秘的な美しさを活かしたとんぼ玉は、ペンダントをはじめとしたアクセサリーに使われています。
千葉市の職人、森谷 糸(もりや いと)さんが手がける作品は、2002年に千葉県伝統的工芸品に指定されました。
現在では県内各地に手作り体験ができる工房もあり、幅広く人々に親しまれています。