寄木細工は、様々な木材の色や木目をいかし、寄せ合わせて精緻な幾何学文様を作る工芸品です。
寄せ合わせた様々な文様の板は「種板」といわれ、これをもとに細工されます。細工方法は2種類あり、種板を薄く削って貼り付ける「ズク貼り」と、種板自体を加工した「ムク作り」があります。
展示品は、色とりどりの木材を使い、伝統の麻の葉亀甲模様にしたくず箱です。麻の葉模様は古来より魔除けとされ、亀甲模様は縁起の良い吉祥文様とされています。
西陣織は、先に染めた糸を色柄などに織りあげる伝統工芸品です。西陣織の名は、室町時代に起こった応仁の乱の西軍の陣の跡、つまり西陣という地名が由来です。展示品は、龍村美術織物のテーブルセンターです。法隆寺に伝来する国宝の文様を復元し、新しい構図にした獅子狩文錦です。古の文様が、美と格調の高さを今に伝えます。
肥前びーどろは、佐賀市の重要無形文化財に指定されているガラス工芸です。展示品は、佐賀で愛される酒器の肥前燗瓶です。ガラスを空中で吹き成形する宙吹きのなかでも「ジャッパン吹き」という伝統技法で作られます。2本のガラス竿を同時に扱う「二刀流」は、肥前びーどろの稀有な技術です。艶のある滑らかな肌合いと美しい形は、お酒を味わい深く楽しめます。
美濃焼は、日本一の陶磁器生産量を誇る岐阜県の焼物です。展示品は、美濃焼の中でもガラスのような透明感のある質感と、漆器のような艶と深みを持つ「ぎやまん陶」のお皿です。ガラスを意味する外来語の「ぎやまん」の名のとおり光を反射させ、素地の組織が綿密で耐久性がある器です。料理が映える菊花の美しいデザインが、日常を趣深いものにしてくれます。
房州うちわは、京都の京うちわ、香川の丸亀うちわとともに、日本三大うちわのひとつです。南房総の細く、しなやかな女竹を使い、1本の竹を接ぐことなく、節の先から48~64本に細く割いたものが骨となります。21もの工程の伝統技術で作られ、窓と呼ばれる半円の中に細かく割かれた竹が美しく並ぶのが特徴です。展示品は、浴衣地を貼ったうちわと絞りの和紙を貼ったうちわです。