~ものづくり×伝わる場所~
芝原人形× 千葉県
起源:明治時代
場所:千葉県長南町
<ものと場所の繋がり>
千葉県長南町の芝原人形は明治時代から伝承される郷土人形です。江戸時代から伝わる土人形の系統で、京都の伏見人形から浅草の今戸人形、そして芝原人形へと技術は伝承されてきました。素焼きされた石っころ雛ともいわれる芝原人形は、振るとカラカラと音がして、素朴ながら味わい深く、長生郡のひなまつりにも飾られました。縁起物や、玩具として、飾られた空間を愛くるしい姿で気持ちをほのぼのとあたたかくしてくれます。
千葉県指定伝統的工芸品である芝原人形は、素朴な味わいのある郷土玩具として親しまれています。
展示品は、芝原人形制作の四代目、千葉惣次氏の作品です。日本画で使う貝の粉である胡粉(ごふん)をかけて白く塗り、その上に泥絵具で彩色することで鮮やかさを際立たせています。
端午の節句に人気の金太郎は、男の子が無事に成長し、強く逞しく育つようにと願いが込められています。
南木曽ろくろ細工×長野県
起源:江戸時代
場所:長野県木曽郡南木曽町
<ものと場所の繋がり>
南木曽ろくろ細工は、長野県木曽郡南木曽町周辺で作られる木目の美しい木工品です。木曽川と山に囲まれた豊かな森林で育ったトチ、ケヤキ、セン、カツラなどの名木(めいぼく)から、木地師(きじし)と呼ばれる職人によって選木され作られます。江戸時代、木地師たちが集まったことで、南木曽は「木地師の里」と呼ばれるようになりました。木地師たちのろくろを使った高い技術が引き出す木目の美しさは、豊かな自然と季節が感じられます。
ろくろ細工の花器は、同じ形でも木質と年輪によりそれぞれ異なる味わいを魅せてくれます。
展示品は、桜の木で作られたUFO花器と呼ばれる南木曽ろくろ細工です。花器を作る際には木目により違いが出るため、入念に名木(めいぼく)を選定します。そして名木を輪切りにし、ろくろの上で回しながらカンナをかけるという熟練技で作られ、ふたつとない趣深い作品に仕上がります。
九谷焼×石川県
起源:江戸時代
場所:石川県加賀市
<ものと場所の繋がり>
九谷焼は、江戸時代に石川県加賀市の九谷で焼かれたことから、九谷焼と名がつけられた色絵の陶磁器です。「上絵付けを離れて九谷はない」といわれるほどの色彩の豊かさが特徴で、緑、黄、赤、紫、紺青の五彩の上絵具で絵付けされます。本職の絵師が絵付けしたことで、目を見張るほどの細かな模様や金の装飾といった豪華絢爛な焼物が生み出されました。九谷焼は豊かな色と技術で、京都に並ぶ伝統工芸王国石川県の工芸品のひとつとなっています。
九谷焼には、陶土※1で作られる陶器と、陶石※2で作られる磁器の2種類があります。
展示品は古田弘毅氏作の陶器の飾り皿です。この作品は、九谷焼の特徴である五彩で描くことで、煌びやかな色合いを創出しています。さらに銀で華やかな桜の花びらが描かれており、陶器がもつ土の柔らかさと桜の華やぎの中にある儚さが飾り皿の上に広がります。
土佐和紙×高知県
起源:不明
場所:高知県土佐市
<ものと場所の繋がり>
土佐和紙の起源は定かではないものの、平安時代の文献に登場する歴史のある和紙です。良質な和紙には、良質な水と楮※(こうぞ)が欠かせません。土佐の楮は他に比べ繊維も太く長いことから、丈夫な紙に仕上がります。仁淀川の豊かな水と、周辺で育てられた質の良い楮が、土佐和紙の歴史を作ってきました。薄くて強い土佐和紙は、現在、文化財修復用紙として海外からも高い評価を受けています。
和紙は暮らしの中に根付き、ふすまや障子などの日本文化の暮らしの中で用いられてきました。
展示品は、歴史ある土佐和紙で、職人の高い染色技術で染められた、特に色合いが美しい土佐七色紙です。
現代では、パルプやレーヨンなどの素材を加えた、伝統ある技術の、薄く光沢性の強い、多様な柄のラッピングペーパーが人気です。
栃尾てまり×新潟県
起源:昭和58年
場所:新潟県長岡市
<ものと場所の繋がり>
新潟県長岡市の山沿いでは、昔から養蚕や機織りが盛んでした。女性たちが子供や孫のために、クズ繭(まゆ)の糸や紬(つむぎ)の残り糸を使い、手かがりてまりを作りました。手かがりてまりには、昔からある遊び玉といわれるものと、栃尾てまりのように、節句などに子供の健やかな成長を祈って飾る飾り玉があります。色とりどりの絹糸(きぬいと)でひと針ひと針多彩な模様に、思いと願いを込めて作られています。
栃尾てまりは飾り玉と呼ばれる、子や孫の成長を願って作られるてまりです。栃尾てまりの会は現在、50代~80代の約100人の会員が活動中です。
伝承されてきた模様のてまりの他、会員が新たな模様のてまりを創作しており、多種多様な模様を誇ります。絹糸が織りなすてまりの模様は、子供の幸福を祈る思いにあふれています。