有田焼×佐賀県
起源:400年前
場所:佐賀県有田町
<ものと場所の繋がり>
有田は磁器の原材料となる陶石が多く採れることから、焼物の町として発展してきました。現在有田町には、いくつもの窯元が存在し、伝統的な文様のものから、現代の生活に馴染むデザインまで幅広く作られています。
<訪ねてみたい有田>
有田焼工房では、実際にろくろや手びねり、絵付けの体験ができる所があります。いくつかの好みの窯元を見つけて巡る旅も良いかもしれません。
日本の磁器発祥である佐賀県の有田焼は、今年で創業400年を迎えます。有田焼が伊万里を積出港としたことから伊万里焼としてヨーロッパに伝わり、のちにドイツのマイセンなどを生むことになったのです。江戸時代の伊万里焼を「古伊万里」と呼びますが、展示品が制作された1804年創業の「弥左ヱ門窯」(やざえもんがま)では、古伊万里の技術を生かしながら、現代のライフスタイルに馴染む食器などを新しい有田焼として、「ARITA PORCELAIN LAB」を展開しています。こちらの花瓶は古伊万里様式の鮮やかな赤絵や金襴手(きんらんて)で絢爛(けんらん)さを表しながらも、現代に合わせた絵付けで魅了されます。
京友禅×京都府
起源:元禄時代初頭
場所:京都府京都市
<ものと場所の繋がり>
京都の祇園に住む扇面絵師 「宮崎友禅斎」 によって考案された技法により、着物に模様が描かれたのが始まりとされています。考案者の名前から「友禅染」と呼ばれたこの技法は、京都から日本各地に伝わりました。友禅染めはそれぞれの土地でその文化や特色を取り入れ「加賀友禅」「江戸友禅」のように独自の発展を遂げています。
<訪ねてみたい京都>
京都市内には手書友禅の絵付けを体験できる場所があります。昔からの技法を学び、時代に思いを馳せながら自分だけの作品を描いてみるのもいいかもしれません。
京都の宮崎友禅斎により始められた京友禅。
友禅は手描き友禅と型友禅とがあり、手描き友禅の技法は意匠構成を基に雛形を作り、青花液で下絵を描くことから多くの工程を要します。彩色の技術はたくさんの色づくりや、京友禅の特徴でもある内側から外へのぼかし、濃淡の技術とかなりの経験を求められるのです。こうした伝統技術が四季折々の花鳥山水を絹に華やかに映しだし、特に京友禅は、公家や町衆文化に支えられたことから、華麗な図案風模様も多く、他の友禅との大きな違いとなっています。
現在ではその彩色を生かし、ショールや長財布など、着物以外の装飾品にも数多く展開されています。展示品の帯は、濃淡ぼかし技術が生かされた、春の訪れを感じさせるものです。
竹籠×栃木県
起源:昭和30年代
場所:栃木県大田原市
<ものと場所の繋がり>
大田原には、「竹」の林が数多く存在しています。その良質な竹を利用して戦後、昭和30年頃から様々な竹工芸品が作られています。多くの竹工芸家が集結している大田原では、今まで2名の人間国宝作家を生み出しています。
<訪ねてみたい大田原>
那須与一で有名な大田原。生活の道具として作られる竹細工の面白さを伝えようと『日本の竹カゴ復活プロジェクト』を立ち上げました。工房の教室では竹カゴ作りを基礎から教えてもらえます。
栃木県の大田原では、良質で豊富な「竹」を活かした竹工芸(ちくこうげい)品づくりが盛んで、昭和57年に重要無形文化財に指定され、著名な竹工芸作家を輩出しています。
竹工芸の技法は、細く割ったひごを編み組みして造形する「編組物」(へんそもの)、円筒形のままの竹を用いる「丸竹物」(まるたけもの)等に分類され、竹の持つ強靭で弾力性に富むという特質が生かされた制作が行われています。
現在、大田原では、高齢化による職人の減少に伴い、「日本の竹かご復活プロジェクト」として職人の育成をしており、関東数か所で竹教室も展開されています。展示品は、ちくげい工房「無心庵」の、使い込むほどに味が出る経年変化の魅力の野点(のだて)のセット。桜の下で茶を点てる春の楽しみです。
甲州織物×山梨県
起源:江戸時代初頭
場所:山梨県富士吉田市
<ものと場所の繋がり>
織物の産地として有名な山梨県の特産品甲州織は伝統のある美しい織物で、別名甲斐絹とも言われております。明治期になると養蚕が発展し、大きな産業となり洋長傘地やハンカチ、ネクタイ、ストール等の多くの織物に使われるようになりました。
2012年から山梨のハタオリ職人、工場、ブランドが集まり『ヤマナシハタオリトラベル』を立ち上げました。
<訪ねてみたい富士吉田>
富士山の麓にある街、富士吉田。甲州織はこの美しい街から生まれています。「ヤマナシ ハタオリ トラベル MILL SHOP」(富士急行富士山駅)では多数のアイテムを直接購入できます。
甲州織の美しさは甲斐絹(かいき)をルーツとした先染めにあり、甲斐絹は富士の湧水により、深みのある色や独特の変化がある甲州織の特徴ともなっています。
現在では、かつての甲斐絹の伝統技術を受け継ぎ、『先染め・細番手・高密度』の絹織物を得意とする全国有数の高級絹織物産地となりました。展示品のネクタイを製織している渡小織物は「新しいトラディショナルを織る」をコンセプトに、伝統的な織り組織にこだわった意匠を、三代に渡り受け継いだ経験と、製織技術で重厚な絹生地に織り上げています。
木撥×千葉県
起源:大正末期頃
場所:千葉県流山市
<ものと場所の繋がり>
自然豊かな流山は白く艶のある樫が多く採れます。それは三味線の木撥作りに最も適した材料であることからここ流山で作られるようになりました。日本全国でも手作業で作られる木撥はここ流山だけとなり、その最後の木撥職人が現在も丁寧に作り続けています。
<訪ねてみたい流山>
流山市を流れる利根運河には、四季折々の花が河川敷に咲き乱れます。「街中森づくりプロジェクト」は、街の小さなスペースに椎木や樫木を織り交ぜながら、小さな森の再生を行っています。
木撥は、長唄などに利用されることが多く、優しい音色を響かせる三味線の撥です。
千葉県流山で制作する都築茂幸(つづきしげゆき)さんは、江戸時代創業の邦楽器製造の老舗「撥幸」(ばちこう)の後継者です。現在全国で唯一の専門職人としてとして、木撥作りを現代に伝え、弟である都築靖幸(つづきやすゆき)さんとともにこの技術を守っています。
木撥には0匁(もんめ)~50匁(※)まで重さの種類があり、埋め木として使われるのはかりん、樫です。長唄の研精会用の木撥も制作され、他の流派ごと変わる撥先の厚みの調整に技術が光ります。