今年度は、日本の伝統文化のなかで受け継がれてきた、様々な文様や形、色などをご紹介します。
今回は、「かたち」というテーマで、とくに動物をかたどったものに注目し、それぞれの動物の姿に込められた意味をご紹介するとともに、かたちの面白さをご覧いただきます。
古来、百獣(ひゃくじゅう)の王とされるライオン。日本では想像上の獣として獅子が考えられ、沖縄では魔除けや火災を防ぐために集落の入り口や屋根の上にシーサーを置いています。
鷽(うそ)かえは、木製の鷽を参詣者がお互いに交換しあう、という天満宮で行われる行事。「鷽」は「嘘」に通じ、前年の不幸もすべて嘘になり、吉事に変わるといわれます。
犬は安産なために、出産にまつわることによく登場します。犬張子は、寝室に置いて幼児を守る魔除けとされて、宮参りやひな祭りの贈り物などに使われました。
「べこ」は東北地方の方言で牛のこと。平安時代に会津地方でお堂が建立された際、一頭の赤牛があらわれて用材を運ぶのを手伝った、という伝説から作られました。
鯉は立身出世をあらわす魚。他の魚は飛び越えられなかった滝を、鯉だけが上ってのちに竜に化したという中国の故事から、端午の節句の飾りとして定着しました。