今回は「納涼(すずみ)」をテーマに、夏の日差しを避けて、涼を求める時に欠かせない夏の風物詩をご覧いただきます。
夏の夕方、家の縁先にそっと腰掛けて、団扇を片手に涼風を求めてくつろぐ─「端居(はしい)」は夏の季語です。このような趣のある夕涼みの風景には、古くからさらに涼味を加える小道具が付き物としてありました。夕涼みに欠かせない小道具を通して皆さまにひとときでも爽やかな涼風をお届けできれば幸に存じます。
使う素材によってずいぶんと雰囲気の変わる衝立。夏場は竹や簾などを加工することによって、涼感をだす工夫がなされています。
銚子竹すだれ(銚子市)は江戸時代に始まり、現在は千葉県伝統的工芸品に指定されています。材料の竹の選別には特に気を使って作られています。
明治時代の頃に作られた金魚鉢。ガラス全体に小さな気泡が入っており、夏の季節にふさわしい涼しげな印象を与えます。
倉敷で作られている鑑賞用団扇です。扇面の素材には絹布と薄手の八女(やめ)紙を使っており、独自の透かし技法によって立体感をもたせています。
暑い午後の昼寝にはうってつけの風通しのよい竹枕。本来は携帯用として用いられ、脚の部分は組み立て式になっています。