今回は「爽やぐ(さわやぐ)」をテーマに昔から私たちに馴染みの深い竹細工をご紹介します。
天に向かって真っすぐに伸びる竹の強靭な生命力。それに相反するような弾力性と爽やかさが、古来から私たち日本人の心をとらえて離さなかった理由でしょう。年代を経るごとに飴色を増す竹細工。
手作りの繊細さで夏に涼をもたらす日本の生活のひと工夫をお楽しみ頂ければ幸いに存じます。
頭と柄が別の差し込み式の京団扇は、一体型の千葉県の房州団扇とは構造が異なります。この透かし団扇は装飾用です。
虫を愛でて(めでて)楽しむという日本の情緒と共に、ミリ単位で作業する職人技が今も息づいている匠技のひと品。
千葉県印旛郡でつくられた花篭の竹材は煤竹(すすだけ)。百年以上たった農家の屋根を支え続けた煤の色の違いや変化など自然の色を楽しめます。
良質の苦竹(まだけ)を産する静岡市は、細やかな千筋(丸籤(まるひご))を駆使した駿河竹千筋細工が有名。南部鉄の鈴の音が千筋を引き立たせます。
九州地方では今もこの弁当箱が作られています。詰まった茣蓙(ござ)目は表、粗い網代(あじろ)目は裏。内外二重張りは防湿効果もあり、昨今注目されています。