今回は「祝い」をテーマに、新春の初祝いにまつわる展示品をご覧いただきます。
生活環境の変化などによって新春の迎え方もずいぶんと多様化してきていますが、歳時記にみられる伝統的な新春の過ごし方を通して、晴れやかな迎春の気分をお届けできれば幸です。
屠蘇散(とそさん)の入った袋を酒(普通はみりん)に浸して、家族そろって飲み交わします。若者から年長者へと杯を回していくのが習わしです。
元日の朝、若水(わかみず)(※)で手や顔を洗い清めることを初手水(はつちょうず)といいます。かつて手水の際には、左右に把手(とって)のついた耳盥(みみだらい)が使われていました。
日本の舞踊においては、舞扇は欠かせない小道具です。舞初(まいぞめ)の舞台では、その絵柄にも祝意が込められています。
(展示品は「松に日の出図・勝修羅扇(かつしゅらおおぎ)」(能扇))
羽根にはムクロジの種が使われています。<無患子(むくろじ)>という当て字から、初正月を迎える女児に羽子板を贈って、無病息災を願うとされています。
(千葉県指定伝統的工芸品/齋藤信太郎氏作「道成寺」)
破魔とよばれる的を転がして弓矢で射止める、という新春の男児の遊びの定番でした。今では初正月の飾り物へと姿を変えています。