瀬戸焼 愛知県 起源:平安時代
瀬戸焼は、愛知県瀬戸市とその周辺で生産される陶磁器の総称であり、平安時代から続く六古窯のひとつで、現在も東日本で最大級の陶磁器の産地となっています。日本で初めて釉薬を用い、土の焼物の中でも黄瀬戸、織部、志野といった有名な陶器から、石から作る磁器まで幅広く、伝統の文様から現代的なデザインまで生産されています。
酒器は、酒の種類に合わせて多種多様にあり、日本の歴史では土器が始まりとされ、金、銀、木、焼物と素材もさまざまです。特に日本酒を注ぐものとして、銚子(ちょうし)、ちろり、片口(かたくち)、徳利(とっくり)があり、飲むための器として、盃、猪口(ちょこ)、ぐい呑みとがあり、器選びも楽しみのひとつです。
展示品は、瀬戸焼のセラミックジャパン製造の酒器だるまマフラーです。頭部分が猪口となり、内側はお祝いの席にも合う金色に彩られています。
秀衡塗 岩手県 起源:平安時代
秀衡塗は、岩手県平泉で藤原秀衡が京より職人を招いたことが始まりです。黒、朱、金を基調とし、菱形の金箔を使い、漆絵でデザイン化した草花が描いてある秀衡文様が特徴で、素朴ながら華麗な味わいを見せます。藤原氏滅亡以降数百年の歴史は未だ定かではありませんが、再び江戸時代より漆器作りが盛んになりました。
古代、大陸から伝来した箱は、中に魂が封じ込められると信じられていたほど、貴重で神秘的なものでした。 時代とともに用途に合わせた様々な箱が作られ、多様な素材と装飾で工芸品も多く生み出されています。
展示品は、岩手県の秀衡塗(ひでひらぬり)の小箱です。蓋の部分が宮城県の鳴子こけしのお内裏様、お姫様を型どっており、かわいらしいデザインとなっています。栃の木に漆塗りされた秀衡塗に、水目桜の鳴子こけしは「JODO(浄土) Japan(漆)」と名付けられたシリーズで、平泉町で生まれたものです。
陶器 千葉県 起源:昭和時代
千葉県佐倉市で、毎年千葉県在住や出身の作家が出展するクラフトフェアが開催されています。首都圏に近いながら、その豊かな自然に囲まれた環境が、多くの芸術家の創作活動を促しており、陶器の世界でも作家や陶芸教室が増えています。
陶器は、陶土といわれる粘土を原料とした焼物です。土ものとよばれ、比較的厚みがあり、土の温かさ素朴さを手に感じさせてくれます。
展示品は、千葉県在住の島田猛氏制作の椿文が描かれた陶器です。信楽の粘土を使い、濃淡に描かれた葉と、黒マット釉(ゆう)で作られた器の景色に、鉄分を含む釉薬が椿の赤を引き立てます。吉祥文様でもある椿は、寒さの中で赤く咲く花と、艶やかな緑の葉が茶人に愛され、陶器に多く描かれています。
高崎だるま 群馬県 起源:江戸時代
高崎だるまは、群馬県高崎市で作られています。眉毛は「鶴」、鼻から口髭は「亀」を描き、顔に吉祥を表現し、「福だるま」「縁起だるま」とも呼ばれています。蚕が繭を作るまでに4回脱皮し、古い殻を割って出てくることを「起きる」といい、昔から群馬県の養蚕農家では、七転び八起きのだるまを大切な守り神としてきました。
だるまは、禅宗の始祖、達磨大師(だるまたいし)が座禅をする姿を模した、招福開運や商売繁盛を祈願する縁起物です。底に錘(おもり)を入れて、倒れてもすぐ起き上がるように作った起き上がりだるまが全国に広まりました。
展示品は、「今井だるま店」と「デザイナー2014」がコラボレーションし、両サイドに七転び八起きのイタリア語が描かれたデザイナーズだるまです。
環境に配慮し、原料は再生紙、表面は貝をすりつぶした顔料で塗装されています。
紅 山形県 起源:室町時代
紅花は、山形県米沢市の名産品です。栽培は中世末期以降から始まったとされ,近世になり紅花の代表的な産地となりました。江戸時代、紅花から作る紅餅は、山形では染織などには加工されず、もっぱら京都に運ばれていました。最上川中流域の最上紅花は高品質で知られ、金と同等の価値を持っていたのです。
日本の口紅は、古くから植物の紅花(べにばな)で作られてきました。紅花を水で洗い黄色の色素を抜き、わずかに赤の色素を残した花びらを使います。さらに花びらを干し、発酵させ、こねて団子にしてつぶしたものが紅餅となります。この紅餅を加工し、蛤の貝殻や白磁の盃に塗りつけたものが紅で、寒中に製造されたものが質もよく、色も美しいといわれています。
展示品は、新田製造の紅です。純度の高さを表す美しい玉虫色は、水で濡らした筆を使うことで、鮮やかな赤になり、色移りしません。