琉球ガラス 沖縄県 起源:明治時代
明治時代から始まった琉球ガラスは、戦後、駐留米軍人が持ち込んだ廃瓶を原料として、青や緑、茶色のガラス製品が作られるようになりました。1975年に開催された国際海洋博覧会以降、観光客が増加し、素朴な味わいの琉球ガラスは人気となったのです。
琉球ガラスは、沖縄県で廃瓶を使い(※)手作りされる工芸品です。成型途中で水に入れ、ひびを入れる「ひび割れガラス」と、様々な手法で気泡を入れる「泡ガラス」があります。
展示品は、Glass Art 青い風製造の「青の洞窟」で、金型にはめてふくらまし、形を整える「型吹(かたぶ)き法」で作られる「泡ガラス」です。暗闇に光るホタル石が入っており、グラスの底部に広がる泡と、重ねて塗られた紫が、読谷村(よみたんそん)の青の洞窟を彷彿させます。
阿波和紙 徳島県 起源:奈良時代
徳島県の阿波和紙は約1300年という長い歴史があります。阿波は紙の原料となる楮(こうぞ)、ミツマタ、雁皮(がんぴ)といった植物の栽培が盛んで、藍染めの原料となる「すくもづくり」の本場としても栄えました。そのため藍を使った藍染和紙が全国に阿波の名を広めたのです。
竹と紙でできた団扇は、室町時代から作られるようになりました。戦国時代には戦を指揮する軍配(ぐんばい)団扇などもありましたが、時代とともに使われ方も変化してきました。現代では、夏の風物詩としてお祭りには欠かせません。
展示品は、アワガミファクトリー製造の阿波和紙を藍で染め上げて作られたものです。和紙の藍染めは、藍液に浸す時間や回数により柄が作り出され、熟練した職人の勘により色の違いが生みだされます。藍色はジャパンブルーともいわれています。
打上げ花火 千葉県 起源:江戸時代
江戸時代に始まったといわれる打ち上げ花火ですが、その主なものには、上がってから四方八方に火薬が飛ぶ「割物(わりもの)」といわれる花火があります。割物のひとつで、文字などを描く「形もの花火」は、花火に色がなかった江戸時代に形でバリエーションを持たせようと、福山花火の初代が考案したものです。
花火は、連絡のための狼煙(のろし)に起源を発し、江戸時代では娯楽として発展してきました。“かぎや~、たまや~”という掛け声は、江戸時代に打ち上げ花火を作った花火屋の“鍵屋”“玉屋”の屋号です。
展示品は、江戸時代創業の福山花火工場5代目福山次郎氏、6代目一郎氏作の夜空に文字や図形を描「形もの花火」です。玉に付いている矢印が、打ち上げ方向を一定にします。
★千葉県内では7月29日(土)鴨川市納涼花火鴨川大会などで打ち上げられる予定です。
沼田桐下駄 群馬県 起源:明治時代
沼田桐下駄は、下駄製作50年、群馬県ふるさと工芸士丸山勝美氏が作る伝統工芸品です。古くから木材の集積地で市場街として発達した沼田市は、赤城山や武尊山などの山々に囲まれた緑豊かな地です。寒暖の差がある、奥利根の厳しい自然が、硬く木目の間隔が詰まった良質な桐を育てます。
下駄は、平安時代に楕円形の足駄(あしだ)※から始まり、江戸時代にかけて発展してきました。素材である桐は、日本の樹木の中で最も軽い材質で、調湿性に優れ、熱伝導が低いという特性を持っています。そのため桐下駄は軽く、素足にも涼しく履きやすいのです。
展示品は、丸山勝美氏作の漆で柄付けされた布印伝(ぬのいんでん)の鼻緒に、鳥獣戯画(ちょうじゅうぎが)の和紙を用いています。
おろし金 埼玉県 起源:不明
銅製のおろし金は、歴史も古く、江戸時代の書物にも多く登場します。江戸の庶民の食文化が道具や職人を育てました。銅版を叩いて締めたものに、たがねと呼ばれるノミに近い工具と金づちを使い作られるおろし金は、現代でも道具にこだわるプロの料理人から支持され、目立て直しをすることで、一生ものといえるほど長く使うことができます。
おろし金は、和食に欠かせない、生姜や大根をおろすための日本独自の調理器具です。
展示品は、大矢製作所製造の銅のおろし金で、抗菌効果のある銅に、職人が手作業でひと目ひと目、丁寧に刃を立てていきます。目の大きさや並びなどが微妙に不揃いな刃は、生姜やわさびなどの繊維を細かく切り、組織を潰さず、あらゆる面を擦っていきます。そのため、おろすものの向きを変える必要がなく、軽い力で擦りおろすことができ、口当たりや風味が一段と美味しく感じられるのです。