今回は、春を感じる色として5種類の「緑」色をご紹介します。
春を告げる鳥「うぐいす」の羽の色からつけられた色名で、やや茶色がかった渋い黄緑色です。オリーブ色系の緑色の中では代表的な色です。
やわらかい青みの緑で、淡い釉薬(うわぐすり)をかけた青みがかった淡い緑色のことを指します。日本の宮廷では秘色(ひしょく)と呼んで珍重したと言われています。
柳の葉のような柔らかな黄緑色で、平安時代から使われてきた色と言われています。淡い黄緑色は裏葉柳色(うらはやなぎいろ)と呼び、江戸時代から使われています。
春の野山を明るく彩る若葉の色です。万葉の時代から用いられた色で、明るく鮮やかな黄緑色系の色を指します。
平安時代から広く使われてきた色で、特に若者向けの色として愛されてきました。春、葱(ねぎ)の芽が萌え出るときの黄緑色を指します。江戸時代には、歌舞伎の定式幕(じょうしきまく)にも使われるなど人気のあった色です。
組紐の歴史は縄文時代の土器にまで遡ります。奈良時代に中国から技術が伝えられ、鎌倉時代には実用的な組紐づくりの技術が発達しました。光沢のある絹糸で組まれた丈夫でしなやかな組紐は、鎧兜などの武具としても沢山作られていました。
千葉県在住の組紐職人、中村航太氏による組紐は伝統の技術を駆使し手組みで製作されており、千葉県伝統的工芸品に指定されています。
古代から好まれていた淡い黄緑色である柳色の着物は、「万葉集」や「源氏物語」など多くの物語に登場します。
春の訪れを告げる柳の若葉の色は、幅広い年代が着用できる色無地や訪問着に好まれて使われてきました。戦乱が遠のき、世情が安定した江戸時代には淡い黄緑色の裏葉柳色など、柳色を帯びた色の、微細なバリエーションが生まれました。展示の着物はこの裏葉柳色で染められています。
足袋は和装の重要なアイテムの一つです。足袋が履きたいがために和服を着るという人もいるほど、足袋には独特の履き心地があります。礼装用の白足袋をはじめ黒足袋、紺足袋が一般的です。女性用の色足袋は、昔から豊富に揃っていましたが、最近では男性用として鶯色などの色足袋も増えてきています。着物や袴に合わせて色足袋をコーディネートするのも和装の楽しみの一つです。
慶長年間に、盛岡藩主であった南部氏が、まちづくりや文化振興の一環として、盛岡に京都の茶釜職人を招き、茶の湯釜を作らせたものが南部鉄器の始まりで、その後も各地の鋳物師を招き発展していきました。
各地の大名への贈り物として重宝された南部鉄器は、瞬く間に全国に広まりました。現代でも、一つ一つ熟練の技によって作られ、熱伝導に優れた南部鉄器は、日本のみならず海外でも人気を集める「Made in Japan」の逸品です。