収穫の秋。数々の実り豊かな旬の食材が食膳を賑わせます。
今回は「食彩(しょくさい)」をテーマに、日本の料理に彩りを添える様々な器をご覧いただきます。
私たちが毎日味わっている食物は、その過程でいろいろな道具や器を辿ってきますが、その中から、食、茶、酒にまつわる器をご覧いただき、日本の食文化の豊かさを感じ取っていただければ幸です。
食物をいれる蓋付きの身の深い容器。茶道の席で、おもに主(おも)菓子(生菓子、饅頭など)を盛り込む菓子器として用いられます。
春に摘み取った茶葉を茶壷の中で熟成させ、旧暦10月の亥の日(10月29日)あたりに口切(くちきり)の茶事をして、石臼で挽いた抹茶をいただきます。
酒を樽(たる)から移すための道具。形の通りに片側に口がついているため片口と呼ばれます。今では酒器や料理鉢と幅広く活用されています。
縄文時代から使われている脚のついた器。室町時代に茶懐石料理が普及すると、食膳としての用途は折敷(おしき:脚のない平膳)へと移っていきました。
炊き上げた御飯や粥を入れる飯櫃(いいびつ)。今では白木の桶(おけ)状のものが主流ですが、もとは漆塗りから始まりました。会席用に台座がついています。