確定拠出年金(企業型DC)
取り組みの概要
- 企業型DC(Defind Contribution Plan)は米国の内国歳入法401条(k)項を参考にしたため「日本版401k」とも呼ばれています。
- 企業型DCは厚生労働大臣から企業型年金規約の承認を受けた企業が実施します。
- 確定給付型(厚生年金基金など)の企業年金制度等は、給付額が約束されるという特徴があり、問題点が指摘されていたことから、平成13年10月に公的年金に上乗せされる部分における新たな選択肢として企業型DCが導入されました。DCは拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、掛金とその運用益との合計額をもとに給付額が決定される仕組みです。
- 企業型DCは厚生年金基金からの分配金の受け皿にもなります。DCは加入する厚生年金基金が解散した場合の代替制度としてふさわしい制度です。
- 確定給付型の場合、運用不調の場合に生じる積立不足を企業が追加負担する必要があり、経営を圧迫する要因ともなります。そこで、積立不足が発生しない確定拠出型への制度移行を進める企業が増えています。
企業側のメリット
積立不足が生じる心配はありません
企業型DCは、掛金を拠出した時点で企業の負担は確定し、積立不足は発生しない仕組みです。
費用予測が容易で、今後積立不足の問題に悩まされる心配はありません。
退職給付債務が発生しません
繰り延べが認められている積立不足を、2014年3月期連結決算より即時認識が義務化されました。企業型DCを採用した場合、将来の退職給付について拠出以後に追加的な負担が生じないため、要拠出額を支払った時点で退職給付費用となり、退職給付債務は発生しません。
従業員側のメリット
自らの資産残高が把握でき、転職時に年金資産を持ち運ぶことができます
コールセンターやインターネットでいつでも運用状況・資産残高の確認ができます。
また、60歳前に離転職等された場合は、積み立てた年金資産を他の確定拠出年金へ持ち運べます。
個人ごとに資産が管理されますので、先に退職した従業員が有利となるような不公平感がありません
一人ひとりの確定拠出年金専用口座ができます。毎月掛金がこの専用口座に入り管理されます。
税制メリット① 掛金支払い時
事業主掛金は全額損金算入できます
- DCの事業主掛金は、給与とみなされず、掛金に対する所得税・住民税の課税はありません。また、社会保険料の対象にもなりません。
- 給与の上乗せで受け取る場合と比較すると、確定拠出年金の税制優遇がよくわかります。
加入者掛金は全額所得控除(*)になります
加入者が一定の範囲内で事業主掛金に上乗せできる「マッチング拠出」を導入した場合、加入者掛金は給与とみなされず、所得税・住民税の課税はありません。
加入者掛金の拠出(マッチング拠出)について
マッチング拠出制度とは、企業が拠出する事業主掛金に加え、企業型年金加入者が自らの意思により加入者掛金を拠出することができる制度をいいます。マッチング拠出制度は、企業が制度を実施する旨を当局に申請し、承認されることにより実施することができます。
加入者掛金額は、(1)事業主掛金額以下で、(2)事業主掛金との合算で法令に定められた「拠出限度額」(*)以下の範囲で、企業毎に定めた金額より加入者が決定し、給与天引きなどにより、事業主を通じて拠出します。
なお、加入者掛金は、小規模企業共済等掛金として、所得控除の対象となります。
税制メリット② 運用時
運用収益に対する課税はありません
一般の金融商品の場合、通常運用益に対する課税がありますが、DCの場合、運用益(利益や配当、売却益)に対する課税はありません。
税制メリット③ 給付金受取時
受取時には一定の非課税枠があります
老齢給付金を年金で受取る場合は「公的年金等控除」が適用され、一時金で受取る場合は「退職所得控除」が適用されます。
給付の種類 |
受取形態 |
課税方法 |
老齢給付金 |
年金 |
雑所得として課税 (公的年金等控除適用) |
一時金 |
退職所得として課税 (退職所得控除適用) |
障害給付金 |
年金または一時金 |
非課税 |
死亡一時金 |
一時金 |
みなし相続財産として課税 (法定相続人1人あたり500万円まで非課税) |
(脱退一時金) |
一時金 |
一時所得として非課税 |
導入のステップ
1
現行制度の分析
- 現行の退職金制度におけるモデル退職金額を算出し、水準を確認します。
- 退職金制度改定のポイントを整理します。
2
新制度モデル給付額作成
- 採用する退職金準備制度の組合せを検討します。
- 人事制度等との整合性も考慮し、DC掛金の算定方法(定額・定率)を決定します。
- 既存従業員については、「今、辞めたら退職金額はいくらか」「退職時まで働いていたらいくらになっていたか」等、制度変更に伴う差額をどのように調整するかを検討します。
3
最終確定と導入手続き
- キャッシュフロー等も考慮し、制度を最終確定します。
- 従業員代表の同意取付け、各種規程類の変更、従業員の投資教育等を行い、導入手続きを進めます。
4
制度実施
- 掛金の拠出が始まります。継続的な投資教育や各種手続きを行います。
- 制度実施後も必要に応じて、見直しを行います。
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