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人生の3大資金、知っていますか?
自分だけのライフプランで
生涯支出金を把握しよう
人生の3大資金、知っていますか?
自分だけのライフプランで
生涯支出金を把握しよう
ライフイベント資産形成
ホーム人生の3大資金、知っていますか?自分だけのライフプランで生涯支出金を把握しよう
「人生100年時代」と言われる昨今ですが、長い人生を安定的に過ごすためには、必要なお金を把握して備えることが大切です。いつ、どんな資金が必要なのかを知っておくことで、いつまでにどのくらいのお金を用意すればよいかがわかります。
そこで活用したいのが、自分の人生計画を反映した「ライフプラン」です。これは、適切な資産運用方法の検討にも役立ちます。
本記事では、人生で必要になる資金のことや、実は知らない人も多いライフプランの立て方と活用方法を解説します。この記事を参考に、人生とお金にまつわるモヤモヤを早いうちに解消してしまいましょう。
人生で必要な3大資金とは
人生では、さまざまなライフイベントが発生します。特に、大きな支出を伴うことの多い以下の3つの資金は「人生の3大資金」と呼ばれています。
人生の3大資金
- 住宅資金
- 教育資金
- 老後資金
まずはそれぞれの資金について知り、どうやって備えていけばよいのかを考えていきましょう。
住宅資金
住宅購入は、多くの人にとって「人生最大の買い物」です。
マイホームを購入するか、賃貸物件に住み続けるかで悩むこともあるでしょう。マイホーム購入の際は住宅ローンを利用したり、頭金の用意をしたりすることになるので、まとまった費用負担を覚悟しなければなりません。ですが、すべて払い終えれば自宅が資産となり、老後の居住費が固定資産税のみで済むメリットがあります。
一方、賃貸物件に住み続ける場合は、気軽に引っ越しができ、住宅ローンの返済にまつわる不安は発生しません。その反面、家賃を払い続けても自分の資産とはならず、老後も住居費を払い続けなければなりません。
住宅ローンを利用する場合、近年は「頭金ゼロ」プランなど、物件価格と同額を融資してもらえるケースもありますが、無理なローン契約は禁物です。少なくとも頭金の10%から20%を用意する、住宅ローンの年間返済額を年収の30%までに抑えるなど、ゆとりをもった返済プランを立てるのが理想的でしょう。
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教育資金
教育資金は、お子さんを育てるうえで必ず考えなければならない費用です。現在の日本では、約8割のお子さんが大学・専門学校まで通うといわれているため、大学進学の費用も必要になることを前提として計算しておくのが理想です。
教育費用の特徴として、お子さんが小さいときは負担額が少なく、成長するほど高額になることが挙げられます。そのため、費用負担が少ないうち、できればお子さんが生まれる前から教育資金を貯め始めるなど、早めに動き出すことが肝心です。
特に、子どもを私立中学校に通わせたいと考えた場合、年間平均で約112万円の費用がかかるため、3年間で約336万円の費用を確保しなければなりません※1。その後の進学先が私立高校なら約228万円(3年間)※2、私立大学では文系学部でも約410万円、理系学部では約541万円(各4年間)※3の費用がかかることになり、必要なときになって慌てて用意するのはなかなか大変です。さらに学費以外に、教材費や習い事の費用、スマートフォン料金などもかかります。教育費用の貯蓄は、定期預金や学資保険、NISA制度による積立投資信託などを利用して、コツコツと行うようにしましょう。
また、お子さんが複数人いれば、その人数分だけ教育資金が必要になります。兄弟姉妹の年齢が近ければ、同じ時期に多くの費用がかかるので、重点的に備えなければなりません。一方で、負担のかかる時期が短くなるため、次に訪れる自分たちの老後に向けた資金に目を向ける時間が長くなります。
- 出典:
-
- ※1・2学習費総額のうち、学校教育費の値を抜き出して単純計算したもの(1万円未満切り捨て)
文部科学省「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」(PDF)
- ※3初年度学生納付金等の平均額をもとに、授業料・施設設備費の値を4倍にして単純計算したもの(1万円未満切り捨て)
老後資金
「老後なんてまだ先のこと」と思っていても、いつかはやってくる未来。早いうちから備えておけば、老後の不安を軽くすることができます。
ある調査によれば、夫婦2人がゆとりある老後を送るための生活費は月額平均で37万9000円。夫婦2人分の標準的な年金額(令和7年4月~)は月額23万2000円とされているため、年金だけでは月に14万7000円も不足することになります。さらに、健康状態によっては医療費も必要になりますから、余裕を持った資金を用意しておく必要があるのです。
公的年金の受給額は人によってさまざまですから、まずは毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」でもらえる年金額を把握しましょう。ねんきん定期便には、加入歴に応じて支給される予定の年金額が記載されており、将来設計に役立てることができます。
年金だけでは不足する老後資金は、貯蓄や資産運用などで自ら用意しておかなければなりません。老後にどんな生活がしたいのかを思い描き、必要な資金を考えておくとよいでしょう。
「ライフプラン」で必要な資金を可視化しよう
将来に向けてさまざまな資金を用意しなければならないことはわかったものの、なにをどうしてよいのか、迷う人も多いでしょう。お金に対するモヤモヤした気持ちを抱いていると、現在の生活も十分に楽しめなくなってしまいそうです。
そんなときに役立つのが「ライフプラン」です。ライフプランは「生涯生活設計」ともいわれ、進学・結婚・出産・マイホームの購入、子どもの教育、セカンドライフといった「ライフイベント」の計画を軸に、叶えたい夢や目標、それに必要な要素や資金などを盛り込んだ、人生の設計図のようなものです。自分が理想とする将来像に向かってライフイベントを計画し、将来起こる可能性のあるリスクも踏まえたうえで、必要資金を算出していきます。
ライフプランは、人生設計に似ています。人生設計は、一般的に仕事・結婚・住む(住みたい)場所・将来の理想像など、個人の満足感に焦点を当てたニュアンスです。一方、ライフプランはより金銭的な側面から人生を捉えた計画を指し、人生のお金の計画も可視化できる大切なツールです。
自分に合ったライフプランの立て方
では、ライフプランの具体的な立て方を考えてみましょう。取り組む順序はつぎのとおりです。
- 自分の人生で起こり得るライフイベントを考える
- 必要な資金のキャッシュフローをシミュレーションする
- 時勢や状況に応じて定期的に見直す
それぞれの項目をくわしくみていきましょう。
(1)自分の人生で起こり得るライフイベントを考える
まずは1年刻みの「ライフイベント表」を用意し、将来の夢や目標を該当する年に書き込みます。具体的な目標がまだ不明確な方は、結婚・出産・子どもの進学・マイホーム購入など、予測しやすいライフイベントをもとに表を作成しましょう。フォーマットはなんでも構いませんので、まずは時系列で書き出してみることが重要です。
それぞれのライフイベントの横には、そのイベントに必要なお金を書き込む欄を設けましょう。たとえばマイホームを購入したいなら、いくらくらいの住宅ローンを組むのか、いくらくらいの頭金が必要かなどを記載しておきましょう。それを埋めていくことで、各イベントでどのくらいの資金が必要なのか把握できます。
独身のうちは、自分の年齢を元にライフプラン表を作成しますが、結婚の予定がある、すでに結婚して家族がいるなどの場合は、夫婦や家族の年齢も併記し、家族全員のイベントを書き込みましょう。書き込みを俯瞰してみると、いつ、どんなときにいくらくらいの支出があるのかを把握でき、貯蓄の目標が明確になります。
一般的に、人生において貯蓄しやすいタイミングは「独身時代」、「結婚した直後の共働き時代」、「子供が独立してから定年までの期間」の3つといわれています。これらの期間は意外と短く、子育てが始まると貯蓄よりも支出のほうに重点が置かれがちなので、計画的に貯蓄プランを立てましょう。
(2)必要な資金のキャッシュフローをシミュレーションする
ライフイベント表でおおまかな資金を把握できたら、つぎは「キャッシュフロー表」でさらに細かいお金の計算をしていきます。
キャッシュフローとは、入ってくるお金と出ていくお金の流れのこと。現在から人生が終わるまでの家計の収入と支出を、具体的な数字で確認していきましょう。将来的な収入を予測するのが難しければ、最初は直近の5年、10年だけでも大丈夫です。現在の給与から将来の昇給額を想定した月々の収入と、未来の家族構成やお子さんの成長などを加味した支出を予想して年間のキャッシュフローを算出し、いくら貯蓄できるのかを明確にします。このとき、臨時出費となりそうな冠婚葬祭費や医療費なども見積もっておきましょう。これを数年単位で完成させれば、キャッシュフロー表のできあがりです。
ライフイベント表とキャッシュフロー表を見比べれば、人生のタイミングごとにどの程度の資金が必要なのかがわかり、毎月の貯金額や資産運用のプランを立てるための判断材料となります。ただし、正確なキャッシュフロー表の作成には、基本生活費が物価などの変動率を設定する必要がありますので、より正確な金額を算出したい場合はお金の専門家に相談するのもおすすめ。自分で作ったおおまかなライフプランがあれば、金融機関などに相談するときもスムーズですよ。
(3)時勢や状況に応じて定期的に見直す
ライフプランは、作成すればそれで終わりではありません。人生では往々にして災害・病気・事故などの予測不能な事態も発生しますし、いつでも計画どおりにいくとは限りません。変化があれば、そのたびに修正する必要があります。
また、ライフプランは年金・医療・介護・税制などの公的制度の変化、株価や為替など市場の影響も受けます。定期的にお金のプロに相談する時間を設けるなど、ブラッシュアップを忘れないようにしましょう。
希望のライフプランを叶えるためには、資産運用も考えて
人生を悔いなく過ごすには、ライフプランに沿ったお金の計画を立てることが重要です。ライフプランを立ててみると、人生に必要な金額がわかり、どの程度の貯蓄をしていかなければならないのかが理解できます。
漠然と考えていたライフイベントなどを可視化すると、意外とお金がかかることがわかるでしょう。「こんなにたくさん貯蓄できるかな」と不安に思う人も少なくないかもしれません。そんなときは、「資産をふやす」ことを検討してみてはいかがでしょうか。
直近の教育費やいざというときの生活費・医療費などはすぐに動かせるように確保しつつ、余剰資金を資産運用することで、将来お金が必要なタイミングに備えることができます。「投資ってなんだか怖い」、「資産運用は初心者だから……」などの不安がある方は、まずは信頼できるお近くの金融機関などで相談してみるのがおすすめです。
投資の原則は「長期・積み立て・分散」ですから、なるべく早いうちに、自分に合った運用方法を検討したいですね。ライフプランをうまく活用して、充実した人生を実現させましょう。
千葉県のお財布事情
第5回:住宅