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2024
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子どもの教育費、どう管理する?
賢い貯め方・ふやし方

子どもの教育費、どう管理する?
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ライフイベント教育
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ホーム子どもの教育費、どう管理する?賢い貯め方・ふやし方

子どもを持つパパ・ママが頭を悩ませる「教育費」。「できるだけお金をかけてあげたいけれど、具体的にいつ、どのくらい用意すればいいの?」と不安に感じることも。この記事では、専門家の監修の元、教育費の考え方や教育費を運用する方法などをご紹介し、教育費ならではの貯め方・ふやし方を解説します。

株式会社Money&You取締役
ファイナンシャル・プランナー 高山 一恵さん

2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務め、退任後はMoney&Youの取締役に就任。月400万PV超の女性向けマネーメディア「Mocha」やチャンネル登録者2万人超の「Money&You TV」を運営し、講演・執筆・相談業務に従事。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)など著書多数。

一般的に、子ども1人につき1000万円以上といわれる教育費。私立校や医学部などに進めばさらに多くの費用がかかることも予想されます。

教育費といえば大学にかかる費用を思い浮かべることが多いかもしれませんが、たとえば私立の中学校を受験するなら、受験費用や入学金、授業料などのほかに、受験に応じた学習塾の費用も考える必要があります。お子さんの人数に応じ、計画的に準備しておかなければなりません。

教育費の準備は、早ければ早いほど融通が利きます。早めに準備しておけば、想定外のことがあったときに軌道修正しやすいですし、余裕を持って長期的な運用を考えることもできるでしょう。

一方で、高等学校や大学の無償化(費用支援や授業料減免、給付型奨学金など)といった動きも進んでいます。国の制度や情勢を鑑みつつ、必要な金額を用意しておきたいですね。

教育費は、住居費、老後資金と併せて「人生の三大資金」といわれています。その比重やバランスを検討しつつ、資金計画を立てることが大切です。

子どもにかかる費用のどこまでを教育費と考えるかは家庭によって異なりますが、基本的には高校までにかかる費用は家計(生活費)から捻出するように組み立てましょう。その場合、「どのくらいの費用をかけられるか」は、高校卒業までにかかる入学金や授業料、交通費、習いごとの費用やお小遣いなどを家計から出せるかどうかが基準になります。ただし、制服代や教材費といったイレギュラーな費用は、別立てで考えてもよいでしょう。

そして、やはり教育費の山場は大学費用です。最もお金がかからないとされる国立文系でも200~300万円は必要になるので、子どもが大学に入る18歳頃を見据えて計画を立てましょう。進路や希望によって必要な金額が変わることもありますので、お子さんを交えて、定期的にご家族で話し合う機会を設けるとよいですね。

教育費を用意する際の視点は「貯蓄する」「運用する」「借りる」の3つです。では、それぞれのコツを解説していきましょう。

児童手当を貯めておくだけで約200万円の貯蓄に

まず考えるのは「貯蓄」によって教育費を賄う方法です。お子さんごとに専用の口座を用意するなどして、コツコツと貯めていきます。目標金額と期限を決めて逆算し、毎月の収入やボーナスから定期的に一定額を教育費の貯蓄に回すようにするとよいですね。

おすすめしたいのは、中学校卒業まで支給される児童手当をそのまま貯めておくこと。出生時から使わずに貯蓄していけば約200万円になるため、最低限の大学進学費用として活用できます。また、一般に子どもが成長していけばいくほど食費や被服費、レジャー費、習いごとなどにお金がかかるようになるので、必要経費が少ない幼少期はお金の貯め時。お子さんが小さいうちから、しっかり貯蓄できるようにしておきましょう。

なお、学資保険を貯蓄代わりに考えているご家庭もあるかもしれません。学資保険を選ぶなら、払込手数料や返戻率を確認し、元本割れしないかを確かめてください。学資保険には確かに貯蓄要素もありますが、どちらかといえば保護者に何かあったときのリスクヘッジとしての意味が強いので、そうした面も合わせて検討してくださいね。

教育費を「ふやす」という視点も必要

貯蓄はなかなか計画通りにはいかないもの。「文系よりも学費がかかる理系に進みたい」、「留学したい」などの希望によっては想定よりもお金が必要になることもあるので、貯蓄と並行して投資も計画的に行いましょう。

長期の積立投資は、投資の基本である長期・積立・分散を意識することで比較的リスクを抑えて運用することができるため、教育費を用意するのに適しています。運用益が非課税となるNISAを活用すれば、さらに効率よく投資を行うことができます。

大学に入学する18歳を基準にすれば期間は十分にありますから、できるだけ早いうちから投資を考えてみましょう。日々の運用実績に一喜一憂する必要はなく、長いスパンで目標金額を見据え、運用と貯蓄のバランスを調整していくことが大切です。自分で検討するのが難しければ、銀行などに相談してみるのもよいでしょう。

長期積立のよいところは、教育費として積み立ててきた投資商品の一部を継続して、その後に必要となる老後資金などに充てられること。人生で必要になる資金を総合的にとらえ、柔軟に運用していくのが理想的です。

借りる場合は金利と返済計画に留意して

貯蓄では教育費が足りない場合、「借りる」という選択肢があります。教育費を借りるときに候補に上がるのは「奨学金」と「教育ローン」。奨学金の一部には支給型(返済がいらない)ものもあります。一般的に有利なものほど条件が厳しいため、日本学生支援機構(JASSO)のホームページなどを確認してください。

また教育ローンを借りるなら、まず検討したいのは国が提供する教育ローンです。金利は低めですが条件は厳しく、手続きも煩雑で時間と手間がかかるため、利用したいと思ったら早めに準備を。

つぎに検討するのは金融機関の教育ローンです。国の教育ローンほどではありませんが、その他のローンに比べて金利が低めに設定されているものもあるので情報収集してみましょう。緊急ですぐにお金が必要になった場合はカードローンなどを利用する手もありますが、金利が高い傾向にあるので、できるだけ他の手段を考えたほうが懸命です。

当たり前ですが、ローンには返済がつきもの。申し込みの前に必ず返済計画を立てて、無理なく返せるシミュレーションを行いましょう。融資元のWEBサイトなどでシミュレーターを用意していることもあるので、うまく活用してください。

教育費を運用する場合、いくつかの注意点があります。

早期からコツコツと、長期積み立てが鉄則

教育費は確実に用意しておくべき資金なので、できるだけリスクを抑えて運用しなければなりません。だからこそ長期積立がおすすめなのですが、コツコツ積み立ててリターンを得るためには約20年の歳月が必要だといわれています。「投資で一発逆転」のような気持ちではなく、できるだけ早いうちから少しずつ積み立てていくのが鉄則です。

NISA制度を利用すれば、非課税で少額から長期積み立てが行えるので、家計のやりくりや貯蓄と並行して行う教育費の運用に適しています。NISAの積立投資枠では、国が定める一定基準を満たした商品のみラインナップされており、投資初心者でも比較的始めやすい方法だといえるでしょう。

貯蓄と運用のバランスを大切に

長期投資はリスクを抑えられるとはいえ、投資に絶対はありません。大学入学などの大切な支払いのタイミングで元本割れを起こしている可能性もゼロとはいえないのです。そのため、教育費の運用は、必ず貯蓄と併用してバランスよく行いましょう。また、3~5年後に必要となることがわかっている費用は投資ではなく、貯蓄として手元に置いておくようにしてください。

見逃しがちな費用にも気を配りましょう

高校や大学の入学金・授業料のほかにも、進学や学校生活に関わる費用は多岐にわたります。最も大きな出費となるのは、一人暮らしをする場合の生活費や、遠方に通うことになった場合の交通費。そのほか、部活によってはユニフォームや道具の費用、遠征費用などもかかりますし、私立校では修学旅行や課外学習のための出費も大きくなりがちです。投資に予算を割きすぎると、こうした出費に慌てることになりかねませんから、投資に回すお金と手元に残すお金のバランスをとることが大切です。

選ぶなら公立校? 私立校?

教育費について考える際に大きな問題となるのは、地域の公立校に進むか、私立校や国立大学等の付属校を受験するかという選択です。どうしても行きたい学校がある場合は単純に費用面との相談になりますが、そもそもどちらがよいのか悩むこともありますよね。

近年では小中学校から受験を選ぶ家庭が増えており、東京23区では約4人に1人が中学受験をするそうです。私立を選べば当然お金はかかりますが、私立校ならではの設備や特色ある教育が期待できますし、大学までエスカレーター式で入学できる学校なら、その後の受験などの負担が減ることになります。私立の中高一貫校などでは「東大コース」や「医学部コース」などを設け、早いうちからその先の進路を見据えた教育方針をとっているところもあるので、明確な希望があれば検討するのも一案です。

一方、国立大学の付属校は全員がその大学へ入れる保証はないものの、費用を抑えながら高水準の教育を受けやすいといえるでしょう。また、最近では公立の中高一貫校も増加傾向。高校受験がないぶん、大学受験を見据えた学習や課外活動に打ち込めるかもしれませんね。

いずれにしても、進学の際は地域性やお子さんの志向、ご家庭のお財布事情をよく見極め、後悔のない選択をしたいものです。

お子さんの将来を左右するかもしれない教育のこと。多くのご両親や保護者の方が悩むポイントともいえるでしょう。直前になって、金銭的な理由から進学を諦めることがないよう、早めに備えて必要な金額を用意しておきたいですね。お子さんのための貯蓄や投資について悩んだら、ぜひお近くの銀行に相談してみてくださいね。

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