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2024
3/25

賃貸と購入、どっちがお得?
住宅購入のメリットと資産の考え方

ライフイベントローン
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ホーム賃貸と購入、どっちがお得?住宅購入のメリットと資産の考え方

「住宅を買ったほうがよいか、借りたほうがよいか」という議論は、昔からあるテーマの1つです。住居費は、生活費の中でも大きな部分を占めるため、「できるかぎり資金を有効に活かしたい」と感じている人が多いのではないでしょうか。そこで本記事では、両者のメリット・デメリットや生涯コストなどを比較して、長期的にどちらが得なのかを検証します。

住宅は、一生モノの買い物です。自己資金だけで購入できる人は少数派で、多くの場合は住宅ローンを組んで購入するのが一般的でしょう。そのため、住宅ローンが負担に感じる人は「購入するより賃貸のほうが気楽」と考えるかもしれません。

住居費は生涯にわたって払うコストであるため、長期的な目線で考える必要があります。例えば、家電製品であれば分割払いだったとしても、2~3年で支払いが終わるでしょう。しかし、住宅のコストは購入でも賃貸でも数十年にわたって払い続けるものです。それぞれのメリット・デメリットを比べて判断することが大切になります。

賃貸住宅のメリットは、状況に応じて気軽に転居できることです。特に定期的な転勤が必要な職業の人は、住宅を購入するよりも賃貸のほうが機動的に対応することができます。また、備え付けの設備が故障した場合は、家主(大家)が費用を負担してくれるので、急な出費を抑えやすいというメリットもあります。

一方で、家賃以外に礼金・更新料などの費用がかかること、状況によっては希望通り住み続けることができない可能性があることはデメリットだといえます。多くの場合、賃貸住宅を借りるときには連帯保証人などの担保が求められます。年齢が高くなり、連帯保証人を求められたときに頼める人がいなければ、更新を断られる可能性もあるかもしれません。

さらに賃貸では通常、勝手にリフォームをすることはできません。家族構成の変化に合わせて間取りを変えたい、バリアフリー対応にしたいといった場合、リフォームができなければ、住み慣れた住居から引っ越さなくてはなりません。加えて、賃貸物件に多いマンションやアパートでは、ペットやピアノ禁止といった制約もありますから、ライフスタイルの自由度が低いこともデメリットです。

住宅購入の大きなメリットは、ローンの支払いが終われば自分のものになるということです。そのほか、住宅購入によって「社会的信用が高まる」という観点もあります。賃貸住宅に住んでいる場合は、ご自身の状況によって手軽に転居できますが、住宅を購入していると無計画に転居しにくくなります。住居が安定していることは、各種ローンの審査に際し、評価が高くなることにつながるのです。また、住宅を購入して持ち家になれば、家族の状況に合わせて自由にリフォームをしたり、間取りを変えたりすることが可能です。

反面、住宅購入のデメリットは、前述のように気軽に転居しにくいこと、固定資産税・都市計画税など税金の負担が生じることです。

また、修繕が必要な箇所や定期的なメンテナンスの費用は自己負担となりますので、そのための備えをしておく必要があります。分譲マンションなどを購入した場合は、管理会社などに維持管理をある程度任せることができますが、管理費や修繕積立金などの出費があることも忘れてはなりません。

住宅を賃貸した場合と購入した場合では、どちらが得をするのでしょうか。一般的に、購入と賃貸を比較する場合の基準は毎月の支払額ですが、更新料や固定資産税など、それぞれにかかる費用も見逃してはなりません。

では、賃貸マンションと購入したマンションを取り上げ、主要な項目による生涯コストの比較をしてみましょう。

比較しやすいように、家賃と住宅ローンの支払いを毎月同水準の12万円にそろえています。

賃貸と購入の50年間の生涯コスト比較

賃貸マンション 持ち家
マンション
条件
物件購入
価格
4040万円 4500万円の物件を購入
(不動産諸経費含む)
自己資金
(頭金)
460万円
家賃 7200万円 毎月12万円
更新料 288万円 2年ごとに家賃1ヵ月分x24回
住宅ローン利息 999万円 借入額4040万円、返済期間35年、
フラット 35利用、
2020年12月の金利1.31%元利
均等返済で計算
管理費 600万円 600万円 毎月1万円
修繕積立金 900万円 毎月1万5000円
固定資産税 572万円 新築マンション特例を利用
土地 2,500万円x1.4%x6分の1
建物800万円x1.4%x2分の1で計算
駐車場代 600万円 600万円 毎月1万円(マンション内駐車場)
リフォーム費用 200万円 100万円x2回
合計 8688万円 8371万円
  • 金額は一例であり、細かい数字はケースによって異なります。

上に示した表で比較したところ、持ち家のほうが300万円ほど安いものの、生涯にかかるコストはほぼ同じくらいという結果になりました。生涯コストで比較した場合、どちらが得かは一概に言えないかもしれません。

それでは、上記の生涯コストのうち、単純に家賃と住宅ローン(元本+利息)を比較して将来的に残るお金を比較してみましょう。賃貸は毎月12万円の家賃を35年間支払い、住宅ローンも毎月の支払いが約12万円で35年支払うとして比較します。

住宅購入が資産になるイメージ図

35年間に
払った金額
35年後に
残った資産
賃貸 5040万円
(家賃)
0円
住宅
購入
約5040万円
(住宅ローン)
3000万円
(中古価格)

住宅購入のメリットでも触れたように、購入したマイホームは自分のもの、つまり資産になります。この「資産になるか、ならないか」が、賃貸と持ち家を比較してわかる大きな差だといえるのです。賃貸では、35年払い続けても1円の資産にもなりません。持ち家は35年後に中古になっていますが、上記の例でいえば残存価格が3000万円残っています。ローンの支払いは終わっているので売却して現金化することも可能です。

つまり、住宅の残存価格分が預貯金と同じ役割を果たしてくれるのです。住宅ローンで貯金をしていると考えれば、わかりやすいかもしれません。このように毎月の支払額は同じでも、資産になる点で住宅購入のほうが得をすると考えてよいでしょう。

住宅は、購入することで長期的なメリットがあることを紹介しました。近年では住宅購入に対する税制優遇が拡充されていますので、それらも活用すれば生涯コストをさらに下げることが可能です。代表的なものに以下のような優遇制度があります。

住宅ローン減税

住宅ローン減税とは、年末の住宅ローン残高の0.7%が所得税や住民税から税額控除される制度です。省エネ基準を満たす新築住宅では13年間、中古住宅では10年間の控除が受けられます。2024年1月現在、住宅ローン減税(控除)の期間は2025年末までとされています。

参考:

国土交通省「住宅ローン減税」

新築住宅の不動産取得税の軽減措置

不動産取得税は、不動産を購入するときに1度だけかかる税金です。新築住宅の場合は、軽減措置として固定資産税評価額から1200万円控除されます。

不動産取得税は「(固定資産税評価額-1200万円)×3%」で算出することができます。単純計算すれば、1200万円×3%=36万円の税額が控除されることになります。ほかにも条件を満たせば利用できる優遇策があるため、購入する際は不動産会社や金融機関へ相談することがおすすめです。

参考:

国土交通省「不動産取得税に係る特例措置」

住宅を購入するか借りるかは、長期的な視点で判断することが大切になります。「老後資金2000万円不足問題」からもわかるように、老後資金の確保は人生において重要な課題の1つです。税制優遇制度などを上手に活用して、マイホームに住みながら老後の準備を進めてみてはいかがでしょうか。