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2024
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親が元気なうちに考えておこう
親が亡くなる前に
子どもがやるべき7つのこと

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「生前整理」や「終活」など、人生の幕を悔いなく下ろすための取り組みが注目されてきています。両親が元気でいるうちはあまり意識していなくても、いざ亡くなった後に初めて直面すると困ってしまうもの。ご本人が積極的に取り組むのはもちろんですが、残される子ども世代にも知っておいてほしいことがたくさんあります。まだ先のことだからこそ、親が元気なうちに家族で話し合い、終活サポートを含めた必要事項7つをクリアにしておきましょう。

親が元気なうちは、なかなか「亡くなる前に……」という話はしにくいかもしれません。しかし、別れはいつか必ずやってくるもの。いざというときに「きちんと聞いておけばよかった」と後悔しないよう、ご両親と話をする機会を設けましょう。

心身が元気なうちに、財産や身の回りの品物などを整理しておく「生前整理」や、人生の終わりに向けて準備をする「終活」などについて、まずは子ども世代が情報収集しましょう。そのうえで、これらの活動についてどう考えているかを本人に聞いてみます。すでに始めていることがあるかもしれませんし、気になってはいても何から手を付ければよいか迷っているかもしれません。残りの人生を楽しく前向きに過ごすためにサポートしたい気持ちを伝え、何ができるかを考えるとよいですね。一緒に終活セミナーなどに参加するのもおすすめです。

なかには「まだ先のことだから」と話し合いを避ける方もいるかもしれません。「死ぬときのことはまだ考えたくない」という気持ちは不自然なものではないので、無理強いせずに時期をあらためましょう。必要に応じ、世間話やテレビの話題などからゆるやかに話を聞いてみてくださいね。

いざというときのために、早めに整理しておきたいのが預金口座です。口座名義人が亡くなった場合、金融機関に届け出をしなければなりません。数が多ければ連絡の手間が増えますし、代理人による解約にも時間と労力がかかることになります。本人名義の預金口座をいくつ持っているか、どこにあるかを確認し、ご本人が動けるうちに可能な限りまとめておきましょう。

亡くなった人が名義人となっている口座は、相続手続きが終わるまで凍結されます。原則、相続の詳細が決まるまで預金の引き出しができないので留意しておいてください。なお、名義人が亡くなったあと、金融機関への届け出の前に預金を引き出すと、単純承継(プラスの財産に加え、借金などマイナスの財産を引き継ぐこと)したとみなされて相続放棄ができないことがあるのでご注意を。

凍結された口座を解除するためには、戸籍謄本や印鑑証明書などの書類が必要になります。金融機関によっては口座のある支店でしか解約手続きができない場合もあるので、親と子が違う地域に住んでいると手続きに苦労するケースが少なくありません。また、預金だけでなく、証券口座と運用状況も確認しておいてください。

ご実家の押し入れや収納の中身をすべて把握している子ども世代は珍しいかもしれません。ご両親が亡くなったあとにおうちを丸ごと片付けるのは予想以上の重労働。ご両親が元気なときから、大切なモノについて一緒に確認し、整理しておくのが賢明です。

貴金属や美術品、収集したコレクションなど、本人が大切にしているもの、後世に引き継ぎたいと思っているものがあれば、その所在や鑑定書などをわかるように整理しておきましょう。そのほか、本人しか価値のわからないものがあれば元気なうちに聞いておき、もう必要ないと判断したものは換金して家族のために使うのも素敵です。また、押し入れに詰め込まれた布類や布団類はかなりかさばりますから、使えるものは思い切って使い、もう使わないものは早めに処分してしまいましょう。もう着ない衣類なども同様です。

さらに、昔の写真や思い出の品などを見ながら当時の話を聞いておくのもおすすめ。「これは最初に住んでいたアパートで撮った写真」、「新婚旅行の記念に買ったお土産」など、ご両親の思い出とともに確認すれば取捨選択もしやすいですし、「若い頃の話をもっと聞いておけばよかった」という後悔が避けられます。

自分の家の宗派を知っていますか? 先祖代々の供養をしてくれているお寺の宗派がわからないと、葬儀の作法や供養の仕方がわからず、困ることになります。ご両親やご親戚などに必ず確認しておいてくださいね。仏壇やお墓を確認して調べることもできます。

お住まいの地域によっては、先祖代々のお墓が遠方にあったりして管理が難しいことから、子ども世代の住まいの近くに新たにお墓を建てることもあるでしょう。最近では、合同の納骨堂におさめたり、樹木葬や手元供養、散骨などを選んだりするケースも増えているよう。ただし、お骨は墓地と定められた場所にしか埋葬できません。散骨の場合も、地域条例などに抵触してトラブルになることがありますから、専門業者に相談・依頼するようにしてください。

お墓や仏壇は相続税の対象外なので、本人がご存命のうちに購入しておくと相続税対策になります。亡くなったあと、どんな場所で眠りたいかの希望を事前に聞いておき、焦らずに検討できるとよいですね。

貯蓄や現金のほか、不動産、土地、証券など、保有財産を目録などにしてもらって確認します。
また併せて、財産の配分などについて記した遺言書があるかどうかを聞いておきましょう。

「うちは一般家庭だし、家族仲もよいから遺言書は必要ない」と思う人も多いかもしれませんが、遺言書がないことによって残された家族の間に亀裂が入るケースは意外と多いのです。遺言書がない場合、子どもがいれば法定相続人は配偶者と子どもになります。それ以外に、介護をしてくれている息子のお嫁さんや特にお世話になった人に財産を残したい場合、主な相続財産が不動産である場合、特に援助が必要な家族がいる場合など、遺言書に残しておくとのちのトラブルを避けられます。

遺言書は本人が自分で書くこともできます。遺言の全文、日付、氏名を自分で手書きし、押印します。付属する財産目録は代筆やパソコンでも認められますが、遺言書自体は自筆でなければなりません。そのほか、公正証書遺言(公証人の代筆で作成され、公証役場で保管される遺言)を作成することもできます。また、いざというときに慌てないよう、発生する相続税も試算しておいたほうが賢明でしょう。

ご両親がどんな生命保険・医療保険に入っているのかを知っておきましょう。今後の通院や入院に対する給付内容、死亡時の給付内容、連絡窓口、受取人などの詳細を確認し、本人の意向と齟齬がないか、不足がないかなどを相談しておくとよいでしょう。

死亡時の保険金は、相続の内容にかかわらず、指定された受取人の財産となります。保険金の受取人が離婚前の前妻のままだったり、高齢の親やすでに死亡した人だったりすると、いざ亡くなったときにトラブルになることも。受取人の変更は原則、契約者本人が行わなければならないため、親世代が元気なうちに見直しておく必要があるのです。

モノや財産の整理はもちろん重要ですが、ご両親が亡くなったあとに一番悔いが残るのは「心の整理」をつけられなかったことかもしれません。親世代が元気でいるうちに、「死ぬまでにやりたいこと」、「やり残して後悔していること」を聞き、行きたいところやチャレンジしたいこと、食べてみたいもの、スッキリせずモヤモヤしていることなどがあれば、一緒に取り組むなどのサポートをしてはいかがでしょうか。

たとえ親子であっても、面と向かってこうした話をするのは気恥ずかしい場合もあるでしょう。その場合は「エンディングノート」などに希望を書いてもらってもOK。ノートに向かってご本人が今の気持ちを洗い出したあとで、手伝えることがないか聞いてみるとよいですね。

親世代の認知症に備えて「家族信託」の検討を

2012年の推計値によると、認知症もしくは認知症予備軍の人の割合は4人に1人。この割合は今後も増加することが予想されています。

認知症などが原因で本人の意思が確認できない場合、たとえ家族であっても預金口座からお金を引き出せなくなってしまうことを知っていますか? そんなトラブルに備えておけるのが「家族信託」です。預貯金や不動産といった大切な財産の管理・運用・処分を信頼できる家族に任せることができる仕組みで、契約内容の自由度が高く、高額な報酬も発生しません。子どもや孫世代まで長期的な契約ができるので、ご家族の状況によって活用しやすい制度ですね。

一部の銀行では、「家族信託口座(信託口口座)」を利用できることも。これは家族間で締結した信託契約のための口座で、口座名義は「委託者〇〇〇〇 信託口受託者△△△△」となります。万が一に備えて準備しておくのもいいですね。

お近くの銀行に相談してみませんか

家族揃っていつまでも元気に、笑い合って暮らしていきたいと願いながらも、いつか訪れる最期のことも考えなければなりません。体が弱ったり、病気が発覚したりしてからではネガティブな気持ちが強くなってしまいますから、できるだけ元気なうちから親子で検討していくことをおすすめします。いざというときに慌てたり、後悔したりしないよう、「残りの人生を一緒に楽しく過ごす」という前向きな気持ちで計画的に取り組んでくださいね。また、相続や贈与といったお金のことで不安があれば、ぜひお近くの銀行で相談してみてください。

財産の生前整理に迷ったら、ぜひ相談を

相続に関わる準備をしておきましょう