■名目金利と実質金利

 例えば、1年間に物価が4%上昇したとします。年初、価格が100万円の自動車は、年末に購入すれば104万円で購入することになります。一方、銀行に1年間お金を預ける時の預金金利が3%だったとします。年初、100万円で預け入れた預金は年末に103万円(税金等は考慮せず)になります。ところで年初に100万円を預け入れ、1年後に預金を引き出して自動車を購入するとすれば、104万円マイナス103万円、つまり1万円を余分に払わなければなりません。物の価値の上昇率がお金の価値の上昇率より大きかったことがわかります。このことをインフレーション(通称インフレ)と呼びます。1990年代前後、低金利下で物の価格とりわけ不動産・株価等の価格が急激な上昇をみせました。「物の価値の上昇がお金の価値の上昇より大きい」ということを簡単にいえば、お金の価値が下がっていくということです。これがまさにインフレということなのです。
 では反対に物価が1年間で1%下がったとします。年初、価格が100万円の自動車は、99万円で購入できることになります。一方、銀行に1年間お金を預ける時の預金金利が1%だったとします。年初、100万円で預け入れた預金は年末に101万円(税金等は考慮せず)になります。年初の段階で同じであった100万円は、1年後に預金を引き出して自動車を購入したとすれば、101万円マイナス99万円、つまり2万円のお金が手元に残ることになります。物の価値の上昇率がお金の価値の上昇率より小さかったことがわかります。このことをデフレーション(通称デフレ)と呼びます。デフレはインフレとは反対に物の価値が下がることを意味します。
 ところで、今まで自動車価格と預金プラス利息という金額で考えてきましたが、金利と物価をレートにして表してみるとどうなるでしょうか。
 
 最初のケースでは、金利3%から物価4%を引くとマイナス1%となります。また、次のケースでは、金利1%から物価マイナス1%を引くわけですから2%となります。ではマイナス1%と2%は何を意味するのでしょうか。実は最初の金利を名目金利と呼び、計算された結果を実質金利と呼びます。
 
 一般的に実質金利が低い場合、企業の資金需要は高まります。反対に実質金利が高い場合、企業の資金需要は低くなります。